2015年06月28日
チヌ( クロダイ )釣り「 魚の五感と生態や習性をマニアックに解説 」
当ブログのテーマであり、メインコンテンツとなっている防波堤( 堤防・波止 )や磯から釣れるフカセ釣りや紀州釣りの人気対象魚...
チヌ( クロダイ )について、釣り師でも意外と知らない方が多いマニアックな魚の五感と生態や習性を徹底解説します。
釣り場で攻略するための基礎知識として参考になれば幸いです。
◆ チヌ( クロダイ )の生態と習性 〜 魚の五感について 〜
五感とは、外界の物事を認識するための五つの感覚で
⇒ 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚
上記の総称です。
チヌの五感と私たち人間の五感を1つ1つ比較してみると、水中と陸上による生活環境の違いから人間よりも優れている感覚や劣っている感覚があります。
1. チヌ( クロダイ )の視覚と視力
沿岸に生息する魚の視力は、0.1〜0.2 程度と考えられていて、魚眼は頭部の左右に出ているため視野の角度は人間より広く真後ろ以外の全方位が視野に収まります。
チヌ( クロダイ )の視力は 0.14 、グレ( メジナ )の視力は 0.13 です。
フカセ釣りや紀州釣りの仕掛けに使用している無色透明のハリスも至近距離だと実は魚から見えているということになります...。
上のイメージ図のように視野角は 300° 以上あり、外敵( 特に鳥 )から身を守るため広範囲を見渡せるようになっています。
防波堤( 堤防や波止 )などの釣り場にいる人間の目線からチヌの姿が見えなくてもチヌの目線からは人影や気配を感じ取られているかも!?
チヌ( クロダイ )は色盲と言われていますが...
魚の視覚には色彩感覚もあり、チヌの場合は海中で目立ってアピール力が高い刺し餌の白い練り餌や黄色いコーンなどにもよく反応する習性があります。
2. チヌ( クロダイ )の聴覚
人間は空気中に伝わる音を耳で感じ取って聞いています。
魚の聴覚とは、上の写真の矢印で示した部分にある側線器官( 遊離感丘 )や頭の中にある見えない耳「 内耳 」で水中の音を感じ取って聞いています。
水中に伝わる音波の圧力変化や水粒子の動きを音( 振動 )として感じ、低音域は人間よりよく聞こえて、高音域は人間より聞こえにくいと考えられています。
分かりやすい例として、海にマキエ( コマセ )を撒くと魚が「 ピシャッ 」という着水音を感じ取り驚いて一瞬だけ逃げます。
釣り場で騒いではいけない
釣り場で大きな物音を立ててはいけない
釣り場でのマナー( 常識 )として上記のように言われますが、人間が出す音が振動として水中にいる魚に伝わり警戒されてしまう恐れがあるということです。
3. チヌ( クロダイ )の嗅覚と味覚
私たち人間より嗅覚が発達している動物と言えば、犬を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は魚の嗅覚も敏感で犬と同様に非常に鋭いです。
魚の嗅覚は、餌に含まれるタンパク質の アミノ酸を嗅ぎ分ける能力 に優れます。
真っ暗な闇の中でチヌの夜釣りをしていても魚が釣れる理由は、刺し餌の中に含まれる成分の アミノ酸を嗅ぎ分けて餌と認識して捕食する 生態を持つからです。
人間と魚の嗅覚の違いは、人間は空気中に拡散( 浮遊 )して漂っている匂いの元となる成分を鼻で嗅いで匂いとして感じていますが...
魚の場合は、トンネル状になった上の写真の鼻孔器官に水を通過させて水中に溶け込んでいる微量の匂い成分やアミノ酸を匂いとして感じ取ります。
人間にとってアミノ酸は味覚として舌で感じる旨味成分ですが、魚はまず嗅覚で匂いとして嗅ぎ分け餌と識別してから味覚にも反応します。
魚の中でもチヌの嗅覚はトップクラスと考えられていて、超低濃度( 極微量 )のアミノ酸でも感知できる能力があります。
ちなみに、チヌ( クロダイ )が特に好むアミノ酸の成分は...
・ アラニン
・ アルギニン
・ グリシン
・ プロリン
上記の4種類です。
グレ( メジナ )は、グルタミン酸ナトリウム( 味の素の成分 )を特に好みます。
釣り餌の定番と言えるオキアミやマキエ( コマセ )作りに使用するチヌ用の配合餌にも魚の生態や習性に基づいて好む成分のアミノ酸が豊富に含まれています。
「 ○○専用 」など、魚種別の配合餌や集魚剤がある理由は、釣りの対象魚に応じて魚が好きなアミノ酸の成分を選んで配合しているからです。
4. チヌ( クロダイ )の触覚
魚の触覚器官は、聴覚の時に説明した側線および体全体に発達していますが、魚には痛みを感知する神経が無いと考えられています。
私たち人間は魚釣りをしていて指に釣り針が刺さると「 痛い 」と感じるのは当たり前のことで、返しの部分まで刺さった時はもう大変...。
しかし、魚に関しては、刺し餌を食べて口に釣り針が刺さってしまっても全く痛みは感じていないということです。
チヌ( クロダイ )の場合は、硬い貝や蟹の甲羅なども簡単に噛み砕いて捕食する習性( 食性 )がある魚なので、歯が鋭く犬歯と臼歯が発達しています。
海中にある物を視覚と臭覚で嗅ぎ分けて、餌と判断すると口の中に入れて噛み触覚で安全かどうかを確かめてから飲み込みます。
刺し餌だった場合、上記の状態がウキに出る 前アタリ の段階で、少しでも違和感を感じると警戒してすぐに吐き出します。
仕掛けのハリスが太いと違和感が大きいため食いが悪くなり、ハリスが細いと違和感が小さいため食いが良くなるとも考えられます。
魚は人間とは違い手がないので、全身の触覚を利用しています。
5. チヌ( クロダイ )の五感と生態や習性のまとめ
最後にチヌなどの魚の五感と生態や習性を利用した魚釣りとの関係をまとめます。
・ マキエ( コマセ )を海に撒く
魚の嗅覚が刺激されて、マキエの中に含まれている成分のアミノ酸の匂いを嗅ぎ分けながらポイントに集まります。
嗅覚と視覚で餌と判断すると、更に魚の味覚が刺激されてマキエを触覚で確かめながら捕食し始めます。
捕食音が海中に伝わり、近くにいる魚も聴覚が刺激されて集まります。
・ 仕掛け( 刺し餌 )をポイントに投入する
魚の嗅覚と視覚で海中に漂う刺し餌を発見して、餌と判断すると触覚で確かめながら捕食して釣り針に掛かり魚が釣れます。
警戒心が強い魚や捕食が上手い魚ほど、釣り針に掛けるのが難しくなります。
海で魚が釣れる原理は、上記のような一連の流れになります。
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posted by Nao☆ at 18:13
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